15. リハーサル開始=通勤ラッシュ

さて、今年一番の寒さの中、いよいよリハーサルが始まる。公演スケジュールに合わせて、月曜日が休みでそれ以外の日は10時〜6時。子役たちは集合時間の15分前に集合。なので子役たちは毎朝9時45分に集合。この業界では時間厳守が基本。普通のアメリカンタイムのつもりでいたら大間違い。

一番の難関は通勤ラッシュ。リンカーンセンターはうちから10マイルほど離れており、渋滞がなかったら車で20分で行ける。しかし、朝のラッシュアワーにどっぷり浸かる時間に行かないといけないので、1時間半ほどの余裕を見ないといけない。そして車はリンカーンセンターの駐車場に駐める。慣れてきたら、子供をシアターの外でドロップできるようになった。

初日は木曜日だったが、夫も一緒にきて皆と初顔合わせをした。子役は地元(Local Hire)と聞いていたのに、蓋を開けてみるとカリフォルニアから引っ越してきた姉妹、インディアナ州から引っ越してきた男の子などがいた。あとはニュージャージー州にりんを含めて4人、ニューヨークの郊外から一人、クイーンズから二人、ブルックリンから男の子の兄弟、ルーズベルト島から一人、と皆居住区は様々。

子役係は上の3人。
子役の親たちがスマホで写真を撮りまくり。
女子は5人。

大まかなスケジュールは数ヶ月ごと、1ヶ月ごと、2週間ごと、一週間ごとと大体決められているが、詳細のスケジュールは前日の夜に送られてくる。そして、初日はいきなり、10時〜1時のみスクーリング、リハーサルはなし、そのあとは子供たちは必要がないので解散、という連絡が前日に届く。えー!6時までじゃなかったの?せ、せっかく午後の仕事を休んだのに、と思っても仕方がない。臨機応変、臨機応変。

しかもリハーサルは6時までとなっていても、もっと早く終わるときもある。子役係から「もうリハーサルがおわったから迎えにくるように。」と5時すぎくらいにテキストがくると、どこにいようとすぐに向かわなければならない。要するに帰りの時間の1時間前は近辺にいた方が無難。慣れてきたら、他のママに先に自分の子供を託すことはできる。でも子役係をあまり長く待たせられない。いつもテキストでコミュニケーションを取るので、この業界ではスマホのテキストは必須である。そして外にいることが多いので、充電器も必須。

初日は親のオリエンテーションもあり、今後子供たちのスクーリングが行われる小リハーサル室で行われた。カンパニーマネージャー(王様と私のカンパニーだけのマネージャー)とアシスタントが説明をし、さらにジェネラルマネージャー(リンカーンセンターシアター全体のマネージャー)、ステージマネージャー(舞台をしきる人)も話をしてくれた。マネージャーだらけで何が何だか分からない。
オリエンテーションをしている小リハーサル室は舞台のリハーサルが行われている大リハーサル室の隣。オリエンテーションが終わり部屋を出ると、謙さんがいた!ちょうど休憩の合間で、一人で中央に立って台詞の練習をしている。思ったより背が高く、やっぱりただならぬオーラを感じる。ちょっと話しかけられる雰囲気ではないので、やめておく。ディレクターのバート氏とは握手を交わした。そして、ケリーさんに挨拶をすると、

「あなたがカップケーキをつくってくれたの?」

ケリーさんにいきなり話しかけられた!Vanity Fairの撮影の時に差し入れで持っていったビーガンカップケーキをかなり気に入ってくれたそうで、レシピを聞かれた。♬るんるん。ブロードウェイスターなのに結構気軽に話せる人なのねー。

その後、カンパニーマネージャーさんと劇場の中を案内してもらい、30周年記念で改築中のビビアン・ボーモント劇場中に入る。まだ舞台セットをつくっている途中で、シャンデリアが床に転がっていたり、たくさんの人たちが舞台の上で何かつくっている。この「王様と私」はキャストが51人、音楽家が29人、裏方さんや事務の人もいれて100人以上の人が関わっている。すごい。

さて、このオリエンテーションで膨大な書類を渡された。主に契約書だが、これはリンカーンセンターがつくった契約書ではなく、舞台俳優ユニオンのActor’s Equity Association (AEA、またはEquity)のスタンダードな契約書。アメリカではどの分野でもユニオン(労働者組合)が強いが、俳優たちも例外ではない。


ブロードウェイに出演する俳優は自動的にユニオンに入会する権利が与えられ、色々な特権が与えられる。一番の利点はユニオンの俳優は優先的にオーディションを受けられること。逆にいうと、ノンユニオンの人たちはユニオンの俳優のオーディションが終わってから見てくれるので、何時間も待たなければならないこともざら。ユニオンメンバーになると健康保険に入る権利も与えられる。ちなみに映画やテレビはScreen Actor’s Guild (SAG)という組合。他にも裏方さんにもそれぞれの職業ごろにユニオンがつくられている。これには結構驚いた。

上の写真はEquity Card(ユニオンカード)を掲げるキャストの皆。りんも5月にAEAメンバー入りした。

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