5人の子役の入れ替わりが発表されたのは12月初旬。一人はアンナ先生の息子役、一人は子役全体の代役であるスウィング(子役の誰かが休むとこの男の子が出演する。)、王子役二人、そして王女役一人。4人は12歳以上の成長期の子供たちで、一人はまだ10歳だけど、元々背が高くこの10ヶ月でインチ以上背が高くなっていた。契約書に「公演期間中に2インチ以上背が高くなると、雇用者は子役を解雇する権利がある」という一文がある。
「子供は成長した方がいいんだから、気にしないで楽しめばいいんだよー」と言っていた私も、子役の入れ替えが発表されて、うちには何も連絡がなかったことに少しほっとしている自分がいた。オリジナルキャストの子役たち最後の公演は、Getting to Know Youのシーン中はケリーさんも他の出演者も涙しながら歌っていた。新しい5人の子役は年が明けてから1月5日からリハーサルが2週間ほどあり、総入れ替えは1月中旬だった。
さて、子役の入れ替えということで、ここで代役の話を。
アンナ先生の代役はStandby スタンドバイと言って、この役だけのために毎公演待機している。下の写真は初代スタンバイのBetsy Morgan。彼女のアンナ先生はケリーさんほど円熟味はなかったけど、いきなり代役とは思えないほどのプロフェッショナル。さすがブロードウェイ。役者の層が厚い。トニー賞の後、ケリーさんはお疲れだったので、結構出番はあり、謙さんとも舞台を共にした。ちなみにBetsyはほとんどの公演で待機で結構暇だったので、パッチワークや編み物をしていたらしい。そこで控室が子役の部屋と近かったこともあり、りんとも仲良くなった。
ちなみに他の代役の人たちは違う呼び名がある。Understudy アンダースタディは他の役で出演している俳優が代役で出る場合。アンナ役にはもう一人代役がおり、奥方の一人としてアンサンブルに入っていたAnn Sanders アン・サンダースはアンナ先生と共に、Lady Thiang (第一夫人)のアンダースタディをこなし、どちらの役でも舞台に立った。彼女は白人と韓国人のハーフなので、白人でもアジア人の役もできるのである。アンナ先生として舞台に立った時、アジア系として初めてブロードウェイで主役を演じ、注目を浴びた。アンナ先生としても、第一夫人としても歌も演技も素晴らしかったのを覚えている。どちらの役もリハーサル時間はとても短かったはず。とても気さくなのに、舞台の上では別人でアンナ先生はとてもエレガントでイギリス人っぽく、とても感動した。個人的には一押しの方!