2015年2月から7月まで渡辺謙さんは半年契約で「王様と私」の王様として君臨し続け、一度も休まなかった。次の王様を探すのに苦労したらしく、まずJose Llanaが2ヶ月半、 そしてその次にHoon Leeに決まった。そして、Hoon Leeの後は謙さんが2016年2月半ばから復帰する予定となっていた。Joseはフィリピン系アメリカ人で、1996年のブロードウェイ「王様と私」で若い恋人役のLun Thaとしてデビューし、高い評価を得ていた。まだ40代前半で童顔なので、ちょっと王様の貫禄に欠けるが、さすがミュージカル慣れしているだけあって、発声の基礎もできていて、全部聞き取れるし、歌もうまい。Joseは2016年7月半ばから9月末まで。ちなみにJoseはKing and I のナショナルツアー に王様として抜擢され、2017年11月から君臨し続けている。
その後王様役を引き継いだのが、Hoon Lee。彼はテレビのケーブルCinemax Bansheeで活躍していた方で、ちょっと地味だけど、味のある王様だった。
これはHoonが王様になったときの新しいコマーシャルの舞台裏。この日は唯一の休日である月曜日。学校を休み、一日中撮影。奥方役の方たちも呼ばれたにも関わらず、コマーシャルに映ったのは後ろ姿のみ。。
Hoonが6ヶ月続けた後に3月から謙さんが戻ってくる予定だった。ところが、2016年1月末に謙さんの胃癌が発覚。そこでHoonは数週間延長することになったものの、2月にHoonが大怪我をし、王様のアンダースタディたちがこぞって出演しないといけない緊急事態になる。ちょうど事故の当日は第一アンダースタディでKralahome (総理大臣)役のPaul Nakauchiは旅行でお休みだったので、第二アンダースタディで普段は王様の護衛役や仏僧としてアンサンブルに入っているBrian Riveraが大役を務めた。まさかの緊急事態でわずか開演2時間前に王様として舞台に立つことを知らされたが、動揺することなく、見事に大舞台を務めたようだ。
ちなみにそれまで、王様役は一度も休んでいなかったので、王様の代役たちは王様として舞台に立ったことがなかった。Brianは2番目のアンダースタディだったため、彼専用の衣装(幅がちょっと大きめ)はちゃんと用意されておらず、初日は上半身裸にズボンといういでたちだったようだ。ブライアンの王様もその後見に行った。彼はいつも子供たちにも優しく接してくれており、その通りとても温かみのある王様だった。彼の低く通る声は聞いていて心地よい。ブライアンの詳しい話はリンカーンセンターのブログに掲載されている。
Paulの王様もなかなか貫禄があり、素晴らしかった。彼は1996年の「王様と私」ブロードウェイにも出演し、ロサンゼルスの公演の「王様と私」で王様を努めた大ベテラン。やはり安定感がある。
Hoonの怪我が長引き、何とかPaulとBrianで王様役をつなぎ、3月中旬から戻ってくるはずの謙さんが、なんとHoonの代役として早めに舞台に立つことになり、いよいよ謙さんのカムバック!